いじめの発覚 ~脱学校への道1~
写真:加害児童に壊された手袋。右手の脇についている金具はカラビナ状になっていましたが、一部が完全に欠けています。そうとう強い力で、何度も机にたたきつけられたようです。
このことを長男に伝えられたとき、わたしは「やった子もまさかこうなると思っていなかったんだね」と能天気に答えました。当時の自分を殴ってやりたい。
ひとくちに不登校といっても、原因はさまざまですよね。
うちの長男の場合は「いじめ」でした。
いや、いじめって言葉は本質を見誤らせるな。
わたしたちは「いじめ」は「犯罪行為」だと捉えています。
4月24日の夜、長男が「体調が悪いから、明日は学校を休みたい」と言い出しました。
朝になっても体調がすぐれない様子だったので、無理はさせずに休ませました。
が、昼間になると元気に遊び、「お腹がすいた」と何度も食べ物をせがんでくる始末(夫談)。
これはおかしいと思った夫が、夜、寝る段になって「明日は学校行くか?」とたずねました。
すると、しくしくと泣き出す長男……。
そこではじめて、昨年の誕生日の直後、つまり7月からいじめが続いていることを話してくれました。
その内容は、わたしたちが前も聞いていたものでした。
あるクラスメイトたちから、からかわれたり、小突かれたりしているということは聞いていました。
そのときは、「まさか、いじめ?」とドキドキしながら慎重に話を聞きましたが、長男が深刻そうでなかったこともあって、いじめ未満のようだと判断していました。
翌4月26日も長男を休ませました。
そして夫が1時間にわたって、長男から聞き取りをしました。
(注:当時わたしは勤めに出ていて、夫が在宅で仕事をしていたため、夫が中心になって対応していました)
話してくれたのは、
・いじめは昨年7月から続いていて、年明けからひどくなっていった
・毎日、それも複数回やられる
・休み時間など、担任の先生(大人の目)がいないときにやってくる
・加害児童は4人。うち1人が主犯格、1人がそれに準ずるポジション、残り2人は追随してやるか、笑うか、暴言のみか
・「死ね」「バカ」「ヘンなの」「クソ野郎」といった「暴言」
・「いきなり殴りかかってくる」「ひざ蹴りをしてくる」「押し倒して乗っかる」「痛いほど背中をぐりぐりやる」「転ばせる」といった「暴行」
・気に入っていたスキー用手袋を机に何度もたたきつけられ、プラスチックのストラップを壊される「器物損壊」
・「やめて」と言っても聞かない
といったことでした。
どう考えてもいじめとしか言いようのない内容でした。
小学校1年生、つまり6,7歳ということを考えると、悪質さに驚きを禁じえません。(高校生や成人がやっていたとしても悪質ですが)
内容もさることながら、「大人の目がないところ」でやっていたということは、自分たちがやっていることの意味をわかっている、ということになります。
どうしてわたしたちは気づかなかったのだろう。
こんな苦しい状況に、子どもを10か月以上も縛りつけてしまった。
夫と相談して、わたしは長男と同じクラスのあるお母さんに連絡を取りました。
「長男がいじめられているみたいで、もしお子さんが何か見聞きしていたら教えてほしい」とだけ伝えました。
誰から、どんなふうにいじめられているとは一切伝えませんでした。
そのお子さんの証言は、まさに長男の証言と一致するものでした。
これはもうビンゴ、まっくろくろすけです。
さらに、そのお子さんは加害児童に「やめなよ」と言ってくれていたそうなのです。
夫はこれらの証言をレポートとして注意深くまとめました。
(わたしたち夫婦は編集者だったので、文章を書くのは「編集者でない人以上、物書き未満」レベルでお手の物なのです。その能力がこんなところで生きるとはネェ……悲しいなー)
さてこのレポート、誰に渡すべきか?
担任の先生はおそらくきちんと対応しないだろうとふんでいたわたしたちは、直接校長先生に連絡を取りました。
(つづく)