再発 ~脱学校への道4~
長男の気持ちが落ち着くのを待って、5月10日水曜日に久しぶりに登校することを決めました。
きっとだいじょうぶ。
学校もきちんと対応してくれたし、二度と同じことは起きないだろう。
そう思って送りだしました。
登校初日は何事もなく帰ってきました。
その翌日は、夫の父の葬儀のため休みました。
金曜日も学校へ行き、特に変わった様子もなく帰ってきました。
週が明けて月曜日。
この朝も、長男はいつも通りに登校していきました。
11時くらいだったでしょうが、担任の先生から電話がありました。
「体調がよくないから4時間目が終わったら帰りたい」と長男がうったえてきたそうです。
久しぶりの登校で疲れたのだろうと思い、昼過ぎに迎えにいきました。
本人に話を聞くと「金曜日くらいからお腹がもやもやしている」ということでした。
ただ、食欲はあって、お昼ご飯も夕飯もいつも通りに食べていました。
夕方には、担任の先生が、長男の忘れ物をわざわざ届けてくださいました。
お忙しいのか、忘れ物だけ渡して挨拶をして帰っていきました。
その夜。
長男のいじめを証言してくれた子のお母さんから連絡がありました。
お子さんが、金曜日に長男がまたいじめられていたのを見たというのです。
担任の先生がいない休み時間に、机の角にお腹を押し付けられていたそうです。
長男は「痛いからやめて!」と言ったにもかかわらず、やめようとしない。
見かねたその子が「やめなよ」と言ってくれたそうです。
「これはいじめだから、やめなよ」と。
それに対してAは
「なんでこれがいじめなの?」
と返してきたそうです。
そのお母さんは、別件で月曜日に学校へ行ったそうです。
そのときに、長男のいじめのことも話してくれたとか。
翌朝、長男にこのことを聞いてみました。
「担任の先生にいじめのことを聞かれたけど、言いたくなかったから言わなかった」
…………。
夫が、校長先生の携帯電話(注:「何かあったらかけてください」と教えられていた)に連絡したところ、
いじめがたった2日で再開したことに驚いていました。
担任の先生は長男の話をそのまま報告していたようです。
こんなにも早い再発に怒りを覚えたわたしたちは、
「加害者の出席停止」
「先方の保護者に会いたい」
と要望を出しました。
もちろん、無理筋であることは承知の上です。
「保護者に会いたい云々」はともかく、
なぜいじめられた側が学校を休まなくてはならないのか、とずっと納得はいっていませんでした。
いじめた側を、解決するまで登校させないのが筋なんじゃないか?
長男から話を聞くまでは
「何で(長男は)言わなかったんだろう」という思いも正直ありましたが、
「言いたくなかった」という言葉に、彼のさまざまな思いが見てとれて、胸がはりさけそうでした。
校長先生は迅速に動いてくれて、その日のうちに学級で記名式のアンケートを取り、関係者に再度聞き取りをしました。
記名式のアンケートでは、目撃者はたった1名だったそうです。
しかし、聞き取りの段になってから、目撃者と加害児童の証言に食い違いが出てきます。
5月16日火曜日夕方、「もう学校へ戻りたくない」という長男と夫が、校長先生との面談に向かいました。
そこで判明したのは、いじめがあったとされる休み時間の食い違いでした。
長男がいじめをうけたのは「1時間目の休み時間」、体育のあとの着替えタイムです。
教室での位置関係も仔細に聞かれたようですが、長男は矛盾なく答えていました。
目撃者の証言が「2時間目の休み時間」だったので、その時間で加害児童たちに聞き取りをしたそうです。
その時間、長男はクラスメイトとドッジビーをやっていたので、「2時間目の休み時間にやったの?」と聞けば、「いや、やっていないよ。長男くんはドッジビーをみんなとやっていたよ」という話になるわけで、「やってない」というのも当然です。
目撃していた子の記憶違いだったのかもしれません。
そんなわけで、翌17日にあらためて、「1時間目休み」で聞き取りをし直すことになりました。
しかし不可解なのは、目撃者がたった1人ということです。
体育のあとの着替えタイムならば、まわりにはクラスメイトが複数いたはずです。
そのことに関連して、さらに驚くことがありました。
17日の午後、近所に住む隣のクラスの子が、長男に届け物をしてくれました。
お母さんもいっしょにいたので立ち話になり、
「長男がいじめられていて、学校を休んでいるんです」と伝えました。
そのとき、お子さんのほうが
「Aくん! ぼくも背中ぐりぐりってやられた」
と言うではありませんか。
わたしは「誰から」いじめられているとは一切言っていません。
となりのクラスの子が長男のいじめを知っているということは、
同じクラスの子たちが知らないなんてことは、絶対、ない。
ということは、クラスメイトたちは立派な傍観者で、
見て見ぬふりをしているということになります。
加害者と傍観者はイコールです。
6,7歳の子たちが、そのような術を集団で身に着けていることに、この村の「保小中一貫教育」がここまで行き届いているのかと感嘆せざるを得ませんでした。
(つづく)