まだ学校で消耗してるの?

2017年5月より小2長男・脱学校につき、家族で「学校のない生活」を模索中

脱学校から4カ月経過 最近のホームエデュケーションどうでしょう?

 

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写真:夫dobiさんがつけている長男taboくんの「HE日誌」。6月1日からつけています。表紙に弟たちが落書きしています……。

 

 

脱学校から4カ月が経過しました。

手探りではじめたホームエデュケーション(以下HE)、最近はどんな具合でしょうか。

長男taboくんの学習を見ている夫dobiさんに、久しぶりに話を聞きました。

 

わたしたちは、不登校になって家庭学習を「する/しない」に正解はないという立場です。

 

大事なのは

・保護者の価値観を明確にする

・子どもに無理強いをしない

の2点をおさえたうえで、

・子どもと対話して子どもが納得して決めていく

ことだと考えています。

 

もちろん、不登校になった年齢によっても対応は違ってくるでしょう。

 

いわゆる勉強をまったくしなくとも、大人になれます。

そして、本人が納得してやること、本人が心から望んでやること以外は、本当の意味では本人の育ちに貢献しない、と考えています。

 

わがやは、わたしも夫も編集者だったので、水を飲むように書物(まとまった文章と言い換えても構いません)に触れてほしいと考えています。

(そうでない考え方があることも承知しています)

また、生涯学び続けることを楽しめる人になってほしい、と願っています。

 

よって、以下のようなHEのスタイルをとっています。

 

ただ、これも発展途上です。

今後、どんどんスタイルは変わっていくだろうし、それが当然だと考えています。 

 

その前提で読んでいただければ、幸いです。

 

 

 

 

HEに割く時間は当初の半分以下

 

 

――今は一日どれくらいHEしているの?

 

今は1日1時間弱かな。

下の双子たちが保育園に行くのが8時だから、そこから朝イチで1時間というスケジュールでやるようにしているよ。

お互い一日を勢いよくはじめよう、というイメージかな。

ほっとくとまったりしちゃうからね。

 

とはいえ、なんやかやで8時ちょうどにはじめられることは少ないかな。

 

 

 

――当初は2時間くらいやっていたから、半分の時間だね。

 

そうだね。

本人の集中力がそこまで続かないんだよね。

ぼく自身も、仕事や用事でそこまで時間が取れなくなっていることもあるな。

 

HEをはじめた頃は「さっさとやってしまおう!」と考えていたんだけど、うまくいかなくて。

本人にそこまで学習に対してモチベーションがあるわけではない状態だったしね。

今はシフトダウンする方向に考えがかわったよ。

 

 

 

――学習内容はどんな感じ?

 

まずは『ドラえもん はじめての論語』(小学館)の音読。

そして『うんこ漢字ドリル2年生』(文響社)で新しい漢字を2つやる。

そのあとは日によって違っていて、前日にやって苦労していた漢字のおさらいや、算数の計算、算数×国語のパズル、百ます計算プレの10ます計算をやったり、という感じだよ。

 

あとは、週1回は小テストをやるようにしているよ。

 

 

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写真:日誌の中身。毎日やった内容、かかった時間、taboくんの様子や感じたことを書いています。 

 

 

――論語の音読はけっこうやっているよね。

 

うん。本人も好きみたい。

ただ読むだけじゃなくて、意味や感じたこと、内容についてその場で話し合えるのがいいね。

本人も「これはどういうこと?」「こういう意味?」「たとえば〇〇っていうことかな?」と、どんどん思ったことを口にしてくれるし。

 

「とにかくやれ」よりも、話をすることが大事なんだとぼくも気づいてきたよ。

あとは、今は基礎の基礎だから、手を動かす、口を動かすという「身体性」が大切だね。

 

この間は、「線」という漢字を書いていたら「『線』って『糸』と『泉』でできているんだね!」と自分で気が付いていた。

字だって、丁寧に書くようにしていると、taboくんはいい字を書くんだよ。

 

 

本人から「科学もやりたい」とリクエストが

 

 

――算数はどう?

 

一時期いっしょうけんめいやったから、今はあまり心配はしていないよ。

あんなに苦労していた時計もようやく読めるようになってきたし。

今は、算数は1週間に1回もやっていない。

 

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写真:算数の小テスト。だいぶ時計が読めるようになってきたね。小テストの手作り感が泣かせる。 

 

 

 

――小テストはどんなことをやっているの?

 

ぼくが問題を作ることもあるし、市販のやつを使うこともあるよ。

小テストといえば、「科学の問題も出してよ」と本人からリクエストがあったね。

彼は今、動物や深海魚にすごく興味があって、NHKの「ダーウィンが来た! 生きもの新伝説」「ワイルドライフ」、特集番組をよく観ているんだよね。

観た感想を彼が話したいままに話させて、ときどき「絵に描いてみたら」とか「文章にしてみたら」というふうにつなげていっているかな。

 

小テストにも、記述式で動物の問題を出しているよ。

 

 

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写真:ブチハイエナについての問題。本人がイチからここまで書けたわけではなく、夫がいろいろ問いかけながらようやくこの長さになったそう。文章を書くというのは、やはり習練が必要ですね。 

 

 

反応が変わってきた

 

 

――taboくんに変化はある?

 

学習という意味ではあんまりないかな。

でも、前より反応がよくなったよ

前は勉強もそうだけど、ごみ出しをするとか、風呂掃除をするとかも、本人と話し合って納得ずくでやっているはずなのに、いちいち「えーっ!?」って言っていたんだ。

 

最近は、自分の生活にリズムとして組み込めるようになってきたのか、そういう反応がなくなってサッサとやるようになったよ。

 

かと言って、ぼくの顔色をうかがっているわけでもない。

リズムができてきたんだね。

 

 

 

――布団たたむのなんかも、言われなくても自分なりに考えてやっているよね。時間がかかっているから「どうしたの?」って聞いたら、「端と端をちゃんと揃えたいの!」と言われたなー。

 

そうだね。

 

 

 

――日によって学習量の増減はあるの?

 

しんどそうであれば量を減らしたり、思い切って休ませたりしているよ。

8月はHEも夏休みということで、ほとんどやっていない。

 

 

「勉強」という言葉は使わない

 

 

――そういえば、dobiさんは「勉強」という言葉を使わなくなったよね。

 

うん。

今は「学び」「学習」と言うようにしてる。

「勉強」という言葉はカバーする範囲が狭いと思うんだよね。

あと、ちょっとネガティブな色がついている言葉だと思うし、到達点が低いように感じるんだ。

「学び」ってもっと本質的なもので生涯続くことだし、その一生かかってやっていくことをやっているんだという気持ちだから、「学び」「学習」と言っているよ。

 

 

――dobiさんとtaboくんの関係は変わった?

 

もともと、ぼくのことをちょっと怖いと思っていたみたいで、それは変わらないかな。

ただ、ぼくは怖いところがあるとしても、怒るポイントは決まっていて、彼もそれはわかっている。

自分からやると言ったことをうやむやにしてやめたりすると、怒る。

 

 

 

――前に何かでtaboくんが、dobiさんへの信頼感をはっきり口にしたことがあったね。

 

そうだっけ?

まあ、毎日よく話をしているし、ぼくも「相手あってのもの」と思って接しているから、そこは信頼感があるのかな。

 

 

親子だけどあまりに違う個性

 

 

――はじめたころと、dobiさんも雰囲気が変わったよね。力が抜けたというか。

 

そうだね。

最初は「初等教育はこうやったらいいんじゃないか」という考えがあったんだよ。

でもそれは自分基準の話であって、taboくんにとってどうかという視点が抜けていた。

やってみて骨身に染みたけれど、ぼくとtaboくんはあまりに個性が違うんだよ

優劣じゃなくて、ただ「違う」ということね。

 

それから自分自身についても「知っているようで知らないんじゃないか」と考えるようになってきたね。

だから、当初抱いていた「読み書きそろばんなんてさっさと終わらせてその先に早くいけばいい」という考えは取らなくなってきた。

 

前は「学校と同じルートをもっと効率よく」としか考えていなかったけれど、そうじゃないルートのほうがよりよい場所へ連れていけるんじゃないか、と今は思っているよ。

 

本は読めるようになってほしいから、漢字の練習はオーソドックスにやらせるけれど、あとはいわゆる勉強とは違うかたちになってもいいと思っているよ。

 

学びは一生続くからね。

 

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当初は、夫もわたしもどこかで「勉強で遅れをとらないようにしないと」という思いがあったように感じます。

 

今は、ほとんど心配していません。

 

それは「学校の勉強に遅れない」という心配ではなく、「日々が学びなのだ」から、いわゆる勉強に血道をあげる必要はない、という意味においての心配していない、なのです。

 

「あらゆる場所が学校になり、あらゆる人が先生になる」のがHEで、そこがまさに醍醐味です。

 

生涯学び続けることを楽しみだと感じる人に育ってほしいし、わたしと夫も死ぬまでそうでありたい。

 

日々の生活がそうなっていくように、そして何より、家が長男にとって安心して過ごせる巣であるように整えていくことが、わたしと夫がいちばんやるべきことだと感じています。

 

保護者は友だちではないし、夫もわたしも在宅で仕事をしながら見ているので、彼の要求に100%応えられているわけではありません

それでも、長男が以前と比べてのびのびと、ストレスなく過ごしているのを感じます。

また、彼といろいろ話ができたり、ちょっとした成長を感じられたりするのはとてもいいなぁ、と感じています。

長男は名言(迷言?)をよく口にする子なので、それを聞けるのも楽しみです。

 

うれしいことに、夫のおかあさんも長男が不登校であることにまったく心配をしていなくて、信頼を寄せてくれています。

 

また折に触れて、わたしたちの手探りのHEをご報告しますね。