六・二七 教育委員会との面談(第二回)
写真:この日のために、できる限り「不登校」や「いじめ」に関する文部科学省の資料、法律を用意しました。法律は、知らないより知っていたほうが確実に武器になることを実感。食わず嫌いで触らないのは損です。学校でも、道徳教育やるなら法学教育をやったほうが絶対いいですよ。
やってきました6月27日。
いよいよ決闘の話し合いのときです。
括目して待っていてくださったみなさん、お待たせしました。
今回はですね、こういうものを用意していきました。
要望書ですね。
(全文はこちらから↓)
今日は、教育長、スクールソーシャルワーカー(SSW)に加えて、スクールカウンセラー(SC)も同席すると告げられました。
しかも、教育長から「提案がある」と言うではないですか。
わたしたちからも要望がある旨を伝え、まずはわたしのターンだっ!
(長男のカードゲーム熱が伝染るんです……)
最初に、この1か月の長男の様子を伝えます。
いわゆる座学もやりながら、外にどんどん出かけていること、不登校の当事者や保護者の会に参加したこと、友だちと遊んでいることなどを伝えました。
先方としては、学校に行っていないことでデメリットが生じているのではないかという懸念があるでしょうから、「ぜんぜんそうではないです。むしろ本人はほっとしていきいきやってます」ということが伝わるように話します。
そして、要望書と、一連の経緯を時系列で整理した資料を渡しながら、なぜこういうものを用意したのかを説明します。
教育長は少々面くらいながらも、「きちんと回答します」と約束してくれました。
そして今回の事案が「いじめによる重大事態」と認識していることも明言しました。
そして、先方からの提案です。
「長男くんの<遊び>の保障をいちばん心配しているんです」と教育長が切り出します。
遊び?
学びじゃなくて?
遊びはじゅうぶんやってるんだけど……。
話が見えないと思いつつ、聞きます。
「第一段階として、長男くんが図書館に行っているときに、SCとの信頼関係を作っていくようにしたいと考えています」。
「あくまで、長男くんが承諾したらという前提ですが」と付け加えつつ、SCの方と話をしたり、散歩をしたり、これからの季節ならいっしょにプールで遊んだり……ということをイメージされているようです。
そして、「教育委員会としては、長男くんに最終的には学校に帰ってきてもらいたい、と考えています」と言うではありませんか。
「ひょっとして話が通じていない?」と思いつつも、まあ、教育委員会は立場的にそうだよね。
(「学校に戻す」ことが不登校の対応の一義ではないと文科省は言っているはずなんだがなー)
「第二段階として、学校に相談室という部屋があるので、そこでSCといっしょに過ごしてもらいます」。
相談室というのは、いろんなおもちゃや、箱庭療法用の砂場とさまざまなミニチュアが置かれている部屋なのだそうです。
(わたしは過去に精神分析を受けたことがあるので、だいたい想像がつきます)
クローズドで安全な場所で、本人がのぞむお友だちなら入室できるそうです。
ここに慣れて、もっと大勢のお友だちと関わりたいとなったら、体育館などで遊ぶ……そして最後は教室に、という流れで考えているようです。
「ついては、その相談室を親御さんがぜひ見学しませんか? なんなら今からでも」と言われ、今度はこちらが面くらってしまいました。
もちろん「必要なときが来たら」と丁重にお断りをしました。
すると教育長は、
「じつは……相談室の見学の際に、校長と教頭、担任から謝罪をしてもらう機会を設けようと思っていたんです」
と告白するではありませんか。
わたしは
「わたしたちも今、学校自体に足を踏み入れる気にとうていなれないのです」
「仮に今の提案を長男が承諾したとしても、また学校側から謝罪を受けるとしても、すべてはこちらの要望にご回答いただいてからの話ではないでしょうか」
と答えました。
まあ、当たり前ですよね。
わたしは、なぜ学校側の対応が尻切れトンボに終わった理由をこんなにも知りたいと思っているのかを説明しました。
・いじめを未解決のまま放置するのは、だれにとってもメリットがない。
・誰かが思い違いをしているならば、その思い違いがわかればそれで解決する。
・いじめた側が嘘をついているならば、指導しなければならない。「嘘が通る」経験をさせることは、その子にとっても、周りにとってもいいことはひとつもない。
・長男が嘘をついていたとしても、なぜ嘘をついたのかを明らかにして、やはり「嘘はいけない」と指導しなければならない。もちろん、その場合は親であるわたしたちが一義的にやらないといけない。
・証言が食い違ってきたということは、解決のハードルが上がっているということで、簡単ではないことは百も承知している。
・学校にも、本音と建前があるのはわかる。それでも、教育現場で正義を貫かなければ、どこで正義を貫くのだ? と思っている。
・大変でもやらなければいけない局面なのではないか?
われながら、これ以上マーベラスな説明はできないと思いましたよ。
教育長はどうやら、要望書にどう答えればこちらが納得するかを測りかねているようでした。
「要望書に答えて、それでどうするんですか?」と聞かれたので、「それで納得ができればそれで結構です」と答えました。
それでも教育長は釈然としない様子でした。
SCさんが「親御さんは、謝罪とか解決とかではなくて、ただ事実を知りたいだけじゃないんですか?」と発言したので、わたしは「そうです、そうです」と首をぶんぶんタテに振りました。
こちらからすると、学校側の対応がコロッと変わったのはまるでブラックボックスです。
もしかしたら、「いじめた側の保護者から強烈なクレームがあった」かもしれない。
また、教育者としては口が裂けても言えない心の動き(めんどくさくなった、とかね)があったとしても、教師とて人間ですから、別に不思議ではない。
ただ、それを知りたい、というだけなんです。
それをもってさらにケンカを売りたいとか、出るとこ出るぞとは考えていません。
(まあ、対応や回答がアレな場合は県の教育委員会に持っていきますけど)
どうやら、校長も教育長も、こちらの意図と違う理解をしていたようだということがわかりました。
内容はともかく、話がわかってもらえてよかったです。
最後に、
「義務教育を受ける場は法律でも特定していませんが、青木村において、学校以外での学びも教育委員会が包括しているという認識でよろしいですか?」と尋ねました。
教育長は、「もちろん、そのつもりです」とこれまた明確に答えてくださいました。
よかったよかった。
「学校に通わないつもりならシラネ」となられちゃ、困りますからね。
あとは完全に余談ですが、
・フリースクールみたいな学校の運営をしたら、すごい差別化になりますから、移住者も増えて税収も増えるんじゃないですか?
・アクティブラーニングとか、インクルーシブ教育とか変化はありますけれど、結局学校の大枠が変わらないから、全体としてはあまり効いていないですよね。大枠をはずしたほうがいいんじゃないですか?
・軍隊式の名残がある今の学校の有りようは、これからの時代には対応できないんじゃないですか。
と、伝えておきました。
ほとんど伝わらないだろうなーと思いつつも、こういう話は機会があればいつでもどこでも何回でも話したほうがいいと思っているので、空気を読まずに話しましたよ。
そんなわけで、想像していたよりはいい方向で面談を終えることができました。
しかし、「学校に戻し」たいんだなー。
長男が「行きたい!」とならない限り、学校に通わせることはないと言っているのに……!
SCさん、どういう方が存じ上げませんが、グッジョブでした。
SSWさんは、東信エリア全体を巡回している方なので、いろんな教育委員会を見ているそうです。
青木村の教育委員会はかなり対応してくれる、話が通じやすいということでした。
少しは期待してもいいかな?
いやいや、油断は禁物。
期待も諦めもせず、回答期限の7月11日(火)まで待つとしましょうか。
今度はもう括目しなくていいんで、みなさまもごゆるりとお待ちください。
以上、現場から報告を終わります。