不登校新聞ってのがありまして
写真:『不登校新聞』。オールドメディアである新聞ですが、専門性の高さと内容の密度が濃ければ、まだまだ存在感はありますね。
『不登校新聞』をご存知ですか?
わたしは名前だけは知っていました。
今回のことをきっかけに、やはり定期的に最新の情報がほしいと思い、購読することにしました。
紙版とWEB版があって、どちらも月額820円です。
日本で唯一の不登校・ひきこもり専門紙だそうです。
創刊は1998年。
来年で創刊20年ですね。
(2004年までは『Fonte』という媒体名だったようです)
タブロイド判で8ページ。
気軽に読めるサイズと量です。
編集している方も、不登校の経験者だったりします。
当事者の声や専門家の知見などを知ることができます。
例えば458号では、演出家の宮本亜門さんが自身の不登校体験を語っています。
40年以上前に不登校を体験している宮本さんのお話は貴重な証言ですし、いろいろと考えさせられます。
また、当事者だけでなく、例えば457号には評論家の荻上チキさんのインタビューが掲載されていて、いわば「アライ*」のような立場から、学校制度にまで切り込み、自己肯定感や自己効力感といった本質的なテーマにも言及されていて、かなり読みごたえがあります。
*アライ……性的少数者の権利運動の中で、当事者ではないが支援する立場の人をこう呼ぶようになりました。異性愛者が同性愛者を支援するだけでなく、レズビアンの方がトランスジェンダーの方を支援するといった場合も「アライ」と言えます。英語で「同盟、支援」を意味するallyが由来。ここでは、「当事者ではないが支援する人」という意味で使っています。
ほかにも「不登校50年 証言プロジェクト」「親のためのQ&A」、書籍紹介など、欲しい情報・面白い視点の内容がたくさん詰まっています。
全国の不登校・ひきこもりの親の会例会情報や、イベント情報が載っていて、これはすぐに役立ちそうですね。
定期購読すると、過去の記事もネットで読めるようになります。
不登校に関する疑問や不安はほぼこれで解消できるのではないでしょうか。
また、多くの先輩たちのリアルな姿も見られるわけで、おおいに勇気づけられそうです。
あとは、不登校といっても原因・経過はさまざまで、一口には言えないという理解も深まりそうです。自分の問題を相対化でき、多様性を実感できるという意味で、これはとても大事なことだと思います。
かつて、アメリカのフェミニズム運動で「個人的なことは政治的なこと」というスローガンがありましたが、不登校についても同じことが言えそうですね。
自分の問題を相対化しつつも、所詮個人の体験と矮小化することなく、社会や政治の構造問題へとつなげていく。
当事者以外を巻き込んで社会を変えていくには、この視点はとても大事だと感じています。