幕切れ ~脱学校への道5~
これで一旦「脱学校への道」シリーズを終えます。
このあとは読んでいて苦しくならないようなネタに移りますので、どうかご容赦を。
しばしお付き合いください。
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17日の夕方、校長先生が我が家を訪れました。
そこでもたらされたのは、
「1時間目の休み時間でも、やっていない」という加害児童とされる子どもたちの証言でした。
たしかに長男は机の角にお腹を押し付けられたのですが、
それは長男に「ただなんとなく」ぶつかっていったEのしわざで、ほかのA、B、C、Dは関与していないということでした。
目撃していた子は、EとAがやっていて、それをB、C、Dが見て笑っていたという証言をしています。
長男は、「痛い!」と思って振り返ったらAとBがいた、と言っています。
目撃していた子と長男の証言にも食い違いがありますが、A~Eと比べたら食い違いは小さいです。
A~Eとは明らかに食い違っています。
この結果を受けて、校長先生は、
「5人が口裏合わせをする時間はありませんでした」
「どうしても、あの5人が嘘をついているとは思えないんです」
「真実を語っていると思います」
と言い出しました。
「では、うちの長男が嘘をついているということですか?」
夫が静かに尋ねます。
「いえ、長男くんも事実を言っていると思います」
「わたしは、5人のことも、長男くんのことも信じています」
「学校は捜査機関ではないので……」
…………。
ようは、これ以上は「やりたくない」「やる気がない」ということね……。
「事実を積み上げていきたいから」と聞き取りを重ねてきた校長先生が、
食い違いが解消していないにもかかわらず、事実上の幕引き宣言をした瞬間でした。
わたしたちにとっては、たった1本の頼みの綱が切られた瞬間でした。
夫は怒りをおさえて、論理的に問いを投げかけつづけます。
しかし校長先生の口から出てくるのは、
「わたしはこの仕事に命をかけています」
「子どもたちはみんな自分の子どもだと思っています」
「わたしにも娘がいますから、わかります」
「わたしもいじめを受けた経験があって、それで教職を目指したところがあります」
という情緒論ばかり。
話のすり替え以外の何物でもない。
穏やかながら有無を言わせない大人の気迫をもって加害児童に語りかけ、諭していた校長先生は、もうどこにもいませんでした。
命をかける? 自分の子どもだと思っている?
ならばどうして、とことんまでやらない?
なぜ、ここでうやむやにしようとする?
証言が食い違うということは、
・誰かが記憶違いをしている
しかありえない。
その上、
「今回のことで……長男くんにも、ほかの児童にも、成長になれば……」
と言う始末。
あのですね。
長男は、一方的に魂を傷つけられただけで、成長する要素も義理も1ミリもないんですが。
この経験をもってして「成長」しろ、と?
はー。
言葉が軽い。
じつに軽いですねー。
いい先生だけど、ここが限界だと感じました。
おそらく、今年度で青木小学校の任期が切れるでしょう。
あと2~3校赴任したらめでたく定年でしょう。
教師は聖職だと言っても、仕事は仕事です。
「命をかけ」ているつもりでも、「自分の子どものように思」っても、実際は無理な話なのです。
逆に、教師にそこまで求めるのも違う、と感じます。
長男が傷ついた分、あなたの命を削ってもらえますか?
……できないですよね。
できもしないことを言って、長男を、証言してくれた子を、わたしたちをこれ以上愚弄するのはやめてほしい。
校長先生に何があったかは、わかりません。
でももう、あらゆる意味で元には戻れない。
夫とわたしは、
「もう学校へは戻りません」
とはっきり伝えました。*
校長先生は明らかにホッとした表情をしていました。
翌朝、全校生徒の前で行う校長講話で、いじめについて話すと言っていました。
すでに教育者を名乗る資格のない校長先生、何を話したのでしょうか。
わたしたちには、もう、関係のないことですが。
*わたしと夫で勝手に決めたことではなく、長男の意志を何度も確認して出した結論です。